■アメリカ東海岸音楽便り〜ボストン響のコンサート・レポートを中心に

速報、ボストン交響楽団 2004−2005シーズン

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先頃、何気なくボストン響のホームページをのぞいていますと、2004-2005シーズンについて言及した文章を見つけました。そこには来シーズンの定期公演の予定が出演者も併せて書かれており、ここに見やすくまとめてみることにしました。

予定表を見てみますと、今秋から音楽監督に就任するジェームズ・レヴァインさんは、定期公演26週のうち、指揮者として11週、ピアニストとしても1週登場するようですね。これで規定の責務を果たすことになるのでしょう。オープニング・コンサートはメトロポリタン・オペラ(MET)の都合でどうしても指揮できないと言うことで、ダニエル・ガッティさんが指揮するようです。それにしても、合唱を含む大掛かりな曲、例えば、マーラーの交響曲第8番、ベルリオーズの「ロミオとジュリエット」、ワーグナーの「さまよえるオランダ人」(コンサート形式)等で、METで活躍する歌手たちを引っ張ってこれるのは、長年METを率いてきたレヴァインさんだからこそなせる業ですね。

当然といえば、当然ですが、過去2シーズン(この間は実質的に音楽監督が不在だった?!)で見られた多士済々の指揮者の顔ぶれはなくなりました。寂しいのは先日ボストン響初の名誉指揮者に任ぜられたハイティンクさんの名前がないことですね。ということはこの新しいメンバーの中に首席客演指揮者がいるのでしょうか。複数回の登場はラファエル・フリューベック・デ・ブルゴスさん(3回)、クリストフ・フォン・ドホナーニさん(2回)です。そのほかの指揮者を見てみますと、名前の通ったスター、もしくは評価の定まったベテラン、の方が多いような気がします。もっと若手のこれからという方にも振ってもらいたいですね。

レヴァインさんが指揮するコンサートに興味があるのはもちろんですが、CDでマーラーの5番の快演を聴かしたガッティさんや、一昨年聞き逃したメッツマッハーさんといったところも私的には興味を引きます。共演者では、私が今まで聴いたバイオリニストの中で一番感心したヴァディム・レーピンさん、ボストン響初登場となるチェロのトルルス・モルクさんなども聴いてみたいところであります。曲目では、その規模の大きさからあまり演奏さることのないマーラーの交響曲第8番(ボストン響では1981年以来)は、これを機会に是非聴いておきたいですね。ショスタコービッチの交響曲の中でも一番の規模を誇る7番も聴いてみたいですし、最近、聴き始めたワーグナーのオペラも聴いてみたいです。

近いうちにMETやニューヨーク・フィル、カーネギー・ホールの来シーズンの予定も分ることでしょう。こういう予定表を見ているだけでも楽しくなってくる私は危ない人に近づいているのかもしれません。とにかくこうして、また楽しくも悩める日々が当分の間続くことになるのです。


日付 指揮者 プログラム 共演者
9月 30日,
10月 1, 2, 5日
ダニエル・ガッティ モーツァルト:交響曲第40番
マーラー:交響曲第5番
 
10月 7, 8, 9, 12日 シャルル・デュトワ ブラームス:ピアノ協奏曲第2番
ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」
ラフマニノフ:交響的舞曲
ピアノ:イェフィム・ブロンフマン
10月14-16日 アンドレ・プレヴィン ラヴェル:クープランの墓
デュティユー:チェロ協奏曲「遙かなる遠い国」
ドヴォルザーク:交響曲第8番
チェロ:トルルス・モルク
10月22-23日 ジェームズ・レヴァイン マーラー:交響曲第8番 タングルウッド祝祭合唱団
アメリカ少年合唱団
ソプラノ:ジェーン・イーグレン、ヘイ・キュン・ホン、ハイディ・グラント・マーフィー
アルト:ステファニー・ブライテ、イヴォンヌ・ナエフ
テノール:リチャード・マージソン
バリトン:エイク・ウィルム・シュルテ
バス:ジョン・レイヤー
10月28-30日 ジェームズ・レヴァイン リゲティ:ロンターノ
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
シェーンベルク:管弦楽のための五つの小品
ストラヴィンスキー:春の祭典
 
11月4-6日 ジェームズ・レヴァイン リヒャルト・シュトラウス:オペラから終曲
リヒャルト・シュトラウス:オーボエ協奏曲
シューベルト:交響曲第9番「ザ・グレイト」
ソプラノ:カリータ・マッティラ
オーボエ:ジョン・フェリッロ(BSO首席奏者)
11月11-13日 ジェームズ・レヴァイン カーター:Micomicon、Symphonia
ベートーヴェン:交響曲第3番「英雄」
 
11月 26, 27, 30日 ジェームズ・レヴァイン シューマン:序曲マンフレッド
リゲティ:チェロ協奏曲
ルトスワフスキ:チェロ協奏曲
ドヴォルザーク:交響曲第7番
チェロ:リン・ハレル
12月2-4日 ジェームズ・レヴァイン ベルリオーズ:ロミオとジュリエット タングルウッド祝祭合唱団
メゾ・ソプラノ:ロレーヌ・ハント・リーバーソン
テノール:マシュー・ポレンザーニ
バスーバリトン:ジュリアン・ロビンス
12月9-11日 ジェームズ・レヴァイン シェーンベルク:浄夜
メシアン:我ら死者の復活を待ち望む
ストラヴィンスキー:管楽器のための交響曲
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽
 
1月6, 7, 8, 11日 ハンス・グラーフ モーツァルト:フルート協奏曲
ボルコム:叙情協奏曲
ヒンデミット:弦楽器と金管楽器のための演奏会用音楽、交響曲「画家マチス」
フルート:サー・ジェームズ・ゴールウェイ
1月13-15日 ジェームズ・レヴァイン バビット:オーケストラのための協奏曲(世界初演)
シベリウス:交響曲第4番、第5番
 
1月20, 21, 22, 25日 ジェームズ・コンロン ウルマン:ピアノ協奏曲
ショスタコービッチ:交響曲第7番「レニングラード」
ピアノ:ギャリック・オールソン
1月27, 28, 29日
2月1日
デビッド・ジンマン ガンドルフィ:新作(2004年タングルウッドにて世界初演予定)
バルトーク:ピアノ協奏曲第3番
ムソルグスキー:展覧会の絵(ラヴェル編曲)
ピアノ:リチャード・グード
2月3, 4, 5, 8日 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス ブラームス:運命の女神の歌、悲歌、運命の歌
ブラームス:ブラームス:交響曲第1番
タングルウッド祝祭合唱団
2月10-12日 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス ファリャ:ペドロ親方の人形芝居
リヒャルト・シュトラウス:ドン・キホーテ

テノール:ジャン・ポール・フシェクール
バリトン:ジョナサン・レマル
人形劇:ボブ・ブラウン・パペット
チェロ:スティーブン・イッサーリス
ビオラ:スティーブン・アンセル(BSO首席奏者)

2月17-19日 ロバート・スパーノ ワイナー:新作(ピアノとオーケストラのための作品、世界初演)
メンデルスゾーン:ピアノ協奏曲第1番
ワーグナー:ジークフリート牧歌
ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」
ピアノ;ロバート・レヴィン、ジェームズ・レヴァイン
2月24-26日 インゴ・メッツマッハー ハルトマン:交響曲第4番(アメリカ初演)
モーツァルト:グラン・パルティータ
 
3月3-5日 ジェームズ・レヴァイン ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」
モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番
シューベルト:交響曲第4番「悲劇的」
ピアノ:アルフレッド・ブレンデル
3月11, 13, 15日 ジェームズ・レヴァイン ワーグナー:さまよえるオランダ人(コンサート形式) タングルウッド祝祭合唱団
バリトン:ユハ・ウーシタロ
ソプラノ:デボラ・ヴォイクト
バス:ミハイル・ペトレンコ
メゾソプラノ:ジェーン・バンネル
テノール:ポール・グローヴス
3月17, 18, 19, 22日 ジェームズ・レヴァイン バッハ:前奏曲とフーガ「聖アン」(シェーンベルク編曲)
アイヴス:交響曲第2番
ガーシュイン:パリのアメリカ人
 
3月24-26日 ジェームズ・レヴァイン ウォーリネン:ピアノ協奏曲第4番(世界初演)
ストラヴィンスキー:ムーブメンツ
ブラームス:交響曲第2番
ピアノ:ピーター・ゼルキン
4月14-16日 クルト・マズア ショスタコービッチ:バイオリン協奏曲第1番
ブルックナー:交響曲第4番
バイオリン:ヴァディム・レーピン
4月 21, 22, 26日 クリストフ・フォン・ドホナーニ ルトスワフスキ:オーケストラのための協奏曲
シューマン:チェロ協奏曲
ラヴェル:ラ・ヴァルス
チェロ:アルバン・ゲアハルト
4月28-30日 クリストフ・フォン・ドホナーニ バートウィッスル:夜の影
マーラー:交響曲第1番
 
5月3, 5, 6, 7日 ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番
レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」、「ローマの松」
ピアノ:スティーブン・コヴァセビッチ

(2004年2月1日、岩崎さん)