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2011年

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CD2011年1月31日(月):しばらく更新を休止します。

 1月15日に今月末の更新休止を宣言しましたが、いよいよその日が来てしまいました。月末に向けて何回かは更新しようと思い、その内容も固めてあったのに、やはりできません。それはそうです。思い通りに更新できるのであれば、更新休止などする必要はありません。全く家事ができず、ただひたすら安静にしている女房を横目に、私は時間に追われながら家事全般をしているわけで、これは結構大変です。もともと私は家事が好きで、女房が発病する前からも相当量をこなしていたのですが、100%というのは応えますね。このページを読んでいるお父さん方、まさか奥さんに家事を100%やらせていないでしょうね?

 さて、念のために申しあげておきますと、私は家庭の事情で更新を休止するのであって、中止するのではありません。休止期間がどのくらいの長さになるかは女房の病状によるのですが、ここ1週間くらいの間にわずかながらも改善してきているので、もしかしたら3ヶ月くらいで復活できるかもしれませんし、もっと長期化するかもしれません。もっとも、再開する際には、こっそりと始めていますから、皆様は完全に当サイトをお忘れになっていると思われます。その時には私も1から出直すつもりで始める所存ですので、気長にお持ち下さい。

 最後に、An die Musikは「CD試聴記」なので更新休止の前に1枚掲載しておきます。

CDジャケット

モーツァルト

  • ホルン協奏曲第1番ニ長調K.386b
  • フルート協奏曲第1番ト長調K.313/285c
  • ファゴット協奏曲変ロ長調K.191/186c
  • オーボエ協奏曲ハ長調K.271k/314

コンセルトヘボウ室内管弦楽団
録音:2005年9月20-22日、アムステルダム(SACD/CDハイブリッド盤)
Pentatone(輸入盤 5186 079)

 コンセルトヘボウ管のメンバーによる室内オーケストラが、管楽器の首席奏者をソリストに迎えて制作した協奏曲のCDです。モーツァルトの代表的な協奏曲ばかりを収録しているために、イージーリスニングにも向いています。リビングであろうとどこかのお店の中であろうと構いません。全く違和感なく溶け込むことでしょう。しかし、それだけだとあまりにもったいない。これは静かな環境で耳を澄ませて聴くべきCDです。例えば、フルート協奏曲はエミリー・バイノンさんがソロを努めています。これがモーツァルトの孤独な心境をわずかに覗かせながらも、みずみずしく音楽の楽しみを紡ぎ出していて素晴らしい。何と言っても華があります。しかも、バイノンさんがまるで目の前で演奏しているようにしか聞こえません。Pentatoneはよくここまで優れたCDを作ってくれたものです。

 このところ、コンセルトヘボウ管の評価は過去になかったほど高くなったようですが、こうしたCDが制作されるのも、その実力と人気を裏付けるものです。コンセルトヘボウは、自主制作盤であるRCO Liveでも巷において高評価のディスクを連発しており、このサイトのURLのもととなっているシュターツカペレ・ドレスデンを完全に引き離しているような気がします。シュターツカペレ・ドレスデンもStaatskapelle Dresden Liveを順次リリースしていますが、どういわけか過去の遺産のリリースにこだわり、その多くがかなり古い録音です。Liveには違いありませんが、ドレスデン当局が到底「今」を伝える気があるとは思えません。期待の指揮者ティーレマンを迎えてどう変わるかが気になるところです。ぜひ大きく盛り返してほしいものです。

 というところで、私も文章を書く時間がなくなってきました。またしばらくして再開したときにお目にかかりましょう。ではまた。皆様、お元気で。

 

CD2011年1月29日(土):くるみ割り人形

CDジャケット 長女がピアノの先生から「くるみ割り人形」の「花のワルツ」の連弾用楽譜をもらってきました(子供向け簡易版です)。長女はいたくこの曲が気に入ったらしく、普段は自発的に真面目な練習をしたがらないのに、こればかりはしっかり練習しています。しかも丸い顔で「原曲を聴かせてよ」というので、お父さんは「よしきた!」とばかりに原曲の入ったCDを持ち出してきました(左写真はマッケラス指揮ロンドン交響楽団、1986年録音、Telarc)。ピアノ連弾ならアルゲリッチ盤がDGに録音したものもありますが、原曲というからにはやはりオーケストラ版です。

 ・・・というわけで久しぶりに「くるみ割り人形」を聴きました。これを家族で聴くと、何とまあ幸せな気分になれるではないですか。クラシック音楽というと、普段聴かない人はこうした優雅な曲ばかりを思い浮かべるでしょうが、昨今のクラシック音楽ファンはあまり優雅な曲を求めていないように感じられます。オーケストラ曲で人気があるのはマーラー、ブルックナー、ショスタコヴィッチですものねえ。そこへいくと、チャイコフスキーのバレエ音楽は「とうの昔に卒業しているよ」的なものになりがちです。

 一方、「くるみ割り人形」は現実離れしたストーリーではありますが、夢があっていいし、巧みなオーケストレーションのお陰で、オーケストラの奏でる音楽を心から楽しめます。単純に「オーケストラって、クラシック音楽っていいなあ」って、感じられます。「こんぺいとうの踊り」など、わずか2分程度の音楽でありながら、完全な小宇宙であります。一緒にCDを聴いていた女房は勢い余って「くるみ割り人形」のピアノ連弾用楽譜を買ってしまいました。手が痺れて弾けないのに。楽譜を眺めていたいのでしょうねえ。

 私はクラシック音楽を中学生の時から聴きはじめ、35年以上が経ちます。いろいろな曲を聴いてきました。どんどん聴いていけばもっと素晴らしい曲に出会えるだろうと信じ、次から次へとCDを買いあさり、現在に至っています。ですが、現実はどうでしょう。皆さんも同じ状況にあったりするのではないかと思うのですが、面白い曲、変わった曲に出会うことは増えてはきましたが、ちょっと聴いただけで「なんて素晴らしい曲なんだろう」と心底思う曲には、最近出会えていません。そういう出会いがあったのは、20代の前半位までで、その後は、リストのロ短調ソナタのように、時間や経験を要して曲を理解する場合が増えています。さらに長ずると、かつて喜んで聴いていた名曲中の名曲を遠ざけ、長大な曲や難解な曲の探求に走ることになったのですが、50歳になんなんとする今、自分のクラシック音楽人生を振り返ってみますと、ごく単純に美しい音楽から随分遠いところにきてしまったものだと思います。ここいらへんで初心に立ち返り、名曲路線に逆行するのも悪くはなさそうです。だいいち、家族と一緒に楽しめます。長らく、家族とは一緒に聴けないような曲ばかりを聴いてきましたが、An die Musikの更新休止を機に、私もそろそろ方向転換をするべきかなと考えています(これを老化・保守化と呼ぶことは百も承知ですが)。

 1月15日の当欄でご案内いたしましたとおりに、An die Musikは、1月末をもってしばらく更新を休止します。その間は家族と聴ける曲をできるだけ多く聴き、女房や子供たちにクラシック音楽の名旋律を教えてあげたいと思います。私のCD買いではなく、今度は女房の楽譜買いが急増するかもしれませんね。

 

CD2011年1月27日(木):苦手な曲

 先日掲載した松本さんの「ネルソン・フレイレとケンペの共演を聴く」の中に、興味深い言葉があります。

例えば、リストの残した名曲でありながら、ピアニスト以外からは忌み嫌われております、ピアノソナタロ短調などは・・・

の部分です。

 なんだか昔の自分のことが書かれているようでしたので私は微笑を禁じ得ませんでした。かつての私はリストのピアノ・ソナタロ短調を完全に忌み嫌っていたのです(つまり、今はそうではないということです)。初めて聴いたのはブレンデルの旧盤で、まだ私は学生でした。その時の異様な気持ちは今も忘れられません。「これは、そもそも音楽なのであろうか。これほど醜悪なものが何故音楽と言えるのか。しかも何故名作と言われるのか」と疑問が浮かび上がったものです。音楽とは、人を楽しませるものであると私は確信しています。その視点では、リストのロ短調ソナタは醜悪極まりないものに聞こえたのです。

 ところが、当然と言えば当然のことながらピアニストにはこの曲の真価が伝わりやすいらしく、偉大なピアニストたちがこの曲に挑戦し、録音を残しています。私もほとんど怖いもの見たさでこの曲の録音を聴いてきました。そのお陰で、30分もあるこの大曲に聴き入り、心が大きく揺すぶられることが何度か起きています。30分をかけて聴き終わった際には、聴き手である私も燃焼しますから、大変なカタルシスを得られるようになりました。

CDジャケット 例えば、ホロヴィッツの録音(RCA、1977年)では、まさにメフィストが目の前に現れたかのような強烈かつ戦慄的な演奏が聴けます。これはホロヴィッツの曲に対する感情移入が激しい演奏だと思いますが、それだけに訴求力は尋常ではありません。そのほか、様々なピアニストが叙情的、悪魔的、壮麗かつ華麗でグロテスクな演奏を聴かせていますね。私は今やこの曲の醜悪さも含めて許容し、リストの傑作であると言うだけでなく、クラシック音楽の中の大傑作であると思うようになりました。ただし、この曲の場合は、根気強く聴くことで理解に達することができたわけですが、それでも30年近くもかかっています。

 実は、有名な曲であるにもかかわらず、私には苦手な曲が今もいくつかあります。そのひとつが、ベルクのピアノ・ソナタ作品1です。残念ながらこの曲を今の私は生理的に受け付けません。何度か努力して聴こうとしても、胸が押しつぶされるような気持ちになるため、わずか10分程度の曲でありながら最後まで聴き続けることができません。CDで聴いてさえ、堪えられません。コンサートホールではその場から逃げられませんから、生では聴けません。そこまで生理的に受け付けない曲を我慢して聴くこともないとは思うのですが、気になってしまうというのは病気なのかもしれませんね。

 驚いたのは、昨年、リストのロ短調ピアノ・ソナタと、このベルクのピアノ・ソナタ作品1をカップリングしたCDがリリースされたことです。ピアニストはエレーヌ・グリモー。CDの最初には奇抜な演奏によるモーツァルトのピアノ・ソナタ第8番イ短調K.310を置き、それにベルクのソナタ、リストのソナタ、バルトークのルーマニア民俗舞曲と続きます。グリモーは企画ものが好きなようですが、モーツァルトとリスト、ベルクが並んでしまうとは。企画ものであるにせよ、こうして同じCDに収められ、同じ聴衆に聴かせているのです。ピアニストにとっては違和感がないということでしょうか。もしかすると聴衆にも。今の私ではちょっと受け入れがたいのですが、そういう時代になってきたのでしょうね。

 あと何十年かかるか分かりませんが、ベルクのピアノ・ソナタを私が喜んで聴く日が来るかもしれません。時々精神的肉体的にリラックスしているときにでもチャレンジしたいと思っています。

 

CD2011年1月17日(月):フレイレ

 松本さんの「音を学び楽しむ、わが生涯より」に「ネルソン・フレイレとケンペの共演を聴く」を追加しました。松本さん、原稿ありがとうございました。


 私事で恐縮ですが、女房、今度は後ろからどこかの子供にぶつかられ、転倒。転んだ際に手をつき、左手首を骨折寸前になるまで打撲してしまいました。男女二人組の子供は「私じゃないよー」と言いつつ逃げ去ったのだとか。骨折しなかったのが唯一の救いです。・・・というか、昨年始めに膝を痛め、それが完治しないうちに右手が麻痺、その次に左手が麻痺、そして今度は左手首が骨折寸前とは。物欲、金銭欲もなく、ごく慎ましやかに生きてきた女房なのに、なぜこうも災いが降りかかるのか。真剣に考えていると陰鬱な気分になるので、家の中では家族全員笑って過ごすことに決めました。もう笑っちゃえ!

 

CD2011年1月15日(土):クールベ

 ゆきのじょうさんの「わが生活と音楽より」に「美術展に併せた二枚のディスクを聴く」を追加しました。

 なお、家庭の事情等により、An die Musikの更新を1月末をもってしばらく休止いたします。おそらくは6ヶ月以上の休止となると思われます。それに伴い、掲示板の運用も今月末をもっていったん休止とさせていただきます。何卒ご容赦下さい。「ケンペを語る 100」など、やり残したことが多いのですが、何卒ご理解を賜りますよう、お願い申しあげます。

 

CD2011年1月14日(金):モーツァルト

 ゆきのじょうさんの「わが生活と音楽より」に「モーツァルトのオペラのピアノ編曲版を聴く」を追加しました。昨日掲載したCDもそうですが、ゆきのじょうさんのCD選びは独特ですよね。メジャー・レーベルのCDばかり聴いている私とは広さや深さがまるで違う気がします。すごいです。

 

CD2011年1月13日(木):北欧

 ゆきのじょうさんの「わが生活と音楽より」に「2枚の北欧の声を聴く」を追加しました。

 

CD2011年1月12日(水):ケンペを語る

 「ケンペを語る 100」に「ケンペと共演したソリストたち」を追加しました。文はゆきのじょうさんです。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。

 

CD2011年1月5日(水):謹賀新年

 あけましておめでとうございます。私は家事に追われる生活が続いていますが、家族とともに楽しい年末年始を過ごすことができました。今年も1年有意義に過ごしたいと思います。

 新年最初に聴いたCDは、何とグリーグでした。

CDジャケット

グリーグ
「ペール・ギュント」第1組曲 作品46

  1. オーゼの死
  2. アニトラの踊り
  3. 山の魔王の宮殿にて

組曲「ホルベアの時代から」 作品40

  1. プレリュード
  2. サラバンド
  3. ガヴォット
  4. アリア
  5. リゴードン

「抒情小曲集」から

  • ノクターン 作品54-4
  • 子守歌 作品38-1
  • 小川 作品62-4
  • 春に寄す 作品43-6
  • 小人の行進 作品5-3
  • 過ぎ去った日々 作品57-1
  • あなたのおそばに 作品68-3
  • トロウドハウゲンの婚礼の日 作品65-6

君を愛す(自作の歌曲によるピアノ曲)

ピアノ:田部京子
録音:2006年8月26〜29日、上野学園
DENON(国内盤 COGQ-20)

 田部京子さんには申し訳ないのですが、別にたいした意味があってこれを聴いたわけではありません。長女が「ペール・ギュント」の「朝」、それも非常な簡略版をピアノで練習していたので、原曲を思い出すためにかけたというのが真相です。清澄な曲なので穏やかな新年にふさわしかったかもしれませんが。

 今年は昨年までと違って大きな課題が我が家にあります。女房が胸郭出口症候群という不思議な病気にかかっているため、私が家事全般を担当しなくてはいけません。女房が一刻も早く完治し、またピアノの練習を始められるよう、全面的に頑張るつもりです。女房、右手が動かなくなった際には左手用の曲の楽譜を買ってきて練習していたものの、左手まで使えなくなると書物やらビデオを見て曲の研究を始めました。女房がピアノに対してこれほどの情熱を持っていることを結婚して18年経つというのに私は全く知りませんでした。がんばれ、女房、おいしいご飯は亭主が作るぞ!


 

(An die MusikクラシックCD試聴記)