私のカペレ
ボンガルツ指揮のレーガーを聴く
文:Sagittariusさん

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CDジャケット

レーガー
モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132
ボンガルツ指揮シュターツカペレ・ドレスデン
録音:1968年8月、ルカ教会
アーノルト・ベックリンによる4つの交響詩
ボンガルツ指揮ドレスデンフィル
録音:1964年6月
BERLIN Classics(輸入盤 0021772BC)

 ハインツ・ボンガルツ (1894-78) は地味な指揮者です。日本で知られている彼の録音も数種類だけでしょう。戦後の46年からライプツィヒ音楽院の教授として、また47から64年までドレスデン・フィルハーモニーの常任指揮者として活躍しましたが、元々はドイツ西部の出身です。

 彼の数少ない録音の中でマックス・レーガー作曲のモーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132の演奏は最も成功したものでしょう。作品によってはかなり晦渋な後期浪漫派的音楽になってしまうレーガーの音楽にあって、モーツァルトのイ長調のピアノソナタの第1楽章、第1主題を題材としたこの作品は、とりわけ親しみ易い音楽になっています。ボンガルツとシュターツカペレ・ドレスデンによるこの曲の録音は、内容的に言ってこの曲の代表的な録音と言えるでしょう。SKDと言うとどちらかと言えば折り目正しいアンサンブルと透明な響きに特徴があり、後期浪漫派のレーガーとかマーラーのイメージではないかも知れません。しかし、この録音の面白さは、ボンガルツがSKDを相手に古典的に始まるこの曲を第3変奏曲辺りからどんどんとレーガーのとろけるような浪漫派の音楽にして行くところです。多分、SKDが最もロマンティックに演奏している録音かも知れません。

 1968年8月ドレスデン聖ルカ教会での録音で、同じレーガーのアーノルト・ベックリンによる4つの交響詩とカップリングされています。こちらはオーケストラが手兵のドレスデン・フィルです。

 

■ 伊東からの補足(蛇足)

 

 レーガーの「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」は、かつてシュターツカペレ・ドレスデンを特集したテレビ放送の中でブロムシュテットが印象深く語っていましたね。このような内容だったと思います。

「子供の頃、ラジオから流れる音楽に私は耳を奪われた。曲は<モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ>。演奏はカール・ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデンでした。嗚呼...」

 ・・・どうもこれがブロムシュテットとシュターツカペレ・ドレスデンの最初の「出会い」だったようです。件のカール・ベーム盤ですが、1938年に録音されていますね。私の手許には新星堂から発売された「カール・ベームの遺産 第2集」があり、ブロムシュテットが回顧したカペレの音を楽しむことができます。といいましても、音楽はものすごいノイズの中にありますが。

 また、ブロムシュテット自身が1990年3月にカペレを指揮したライブ録音があるようですが(Calig)、私はまだ入手していません。どんな演奏だったのでしょうかねえ?

 

2002年8月16日、An die MusikクラシックCD試聴記