ARCHIVE OF WHAT'S NEW?
2002年11月

アーカイブのインデックス ホームページ WHAT'S NEW


CD11月30日:青木さんによる「コンセルトヘボウ管のページ」に「シャイー指揮マーラーの交響曲第6番を聴く」を追加しました。青木さん、原稿ありがとうございましたm(__)m。


CD11月29日:ゲルギエフ第3弾!

今日もまたサントリーホールに行って来ました。ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管のコンサートです。出し物は松村禎三さんの「管弦楽のための前奏曲」とマーラーの交響曲第9番でした。

さすがにゲルギエフのコンサートを1週間のうちに3度も聴きますと、この指揮者が本当はどんな人か見当がつきますね。ゲルギエフは一部のCDで聴くと、激烈な表現をする音楽家のように思われますが、そうではないようです。少なくともスペクタクル路線の人ではあり得ないですね。本日のメイン・プログラムであったマーラーは激烈さがまるで感じられない演奏でした。第2楽章のレントラーがやや速めのテンポを取ったり、ホルンが時々突出するのは些細なもので、激烈さとは直接関係がありません。今日の演奏は、感情移入なし、デフォルメなし。実に丁寧な演奏ぶりでした。もしかしたらビブラートがたっぷりかかったようなトランペットが最強音で炸裂するのではないかと思っていた時代錯誤の私は、すっかり目を覚まされました(^^ゞ。

私はバーンスタインやテンシュテットを知ってしまったお陰で、マーラー演奏にとてつもない激烈さ、感情移入の深さを求めてしまいがちです。しかし、そのようなものがなくても、マーラーの音楽は美しく奏でられ、聴き手に届くわけですね。第9番の第4楽章はとりわけ美しい演奏でした。全曲を通してほぼそのままCD化できそうなほど高いレベルの演奏でしたし、ゲルギエフがいかに真摯な指揮者であるか分かりました。その意味で収穫の多い1週間でした。

なお、余談ですが、オケの配置は3つのコンサートを通じて全部違うのです。N響との合同演奏時、すなわち、ショスタコーヴィッチの時は指揮者右手にチェロが配置されていましたが、キーロフ管の時は指揮者右手に第2バイオリンが来ていました。チェロは指揮者の真ん前。金管楽器は指揮者右手に集められていました。昨日と今日の大きな違いはコントラバスの位置です。昨日は指揮者左手、第1バイオリンの奥に陣取っていましたが、今日は指揮者右手。さらに昨日は指揮台を使っていましたが、今日は指揮台なし。昨日のなにかしらの経験が活かされたのでしょうか? 曲によって配置が変わったとしたら面白いことです。


CD11月28日:ゲルギエフ第2弾!

今日はゼンパー・オパー、じゃなくてサントリーホールにゲルギエフを見に行ってきました。オケはキーロフ歌劇場管弦楽団でプログラムは以下のものでした。

休憩

アンコール

プログラムはアンコールを含めてロシアものづくし。しかもアンコールを除く予告曲5曲のうち、4曲は静かに終わるという、実に珍しいコンサートでした(「イスラメイ」のみが大きな音で終わります)。

演奏が最も素晴らしかったのはやはりメインの「シェエラザード」でした。この曲は先頃CDが発売されていたので、相当なスペクタクル演奏を楽しめそうだと思っていったのですが、ゲルギエフはCDほどには暴れないんですね。むしろ地道な正攻法でリムスキー=コルサコフの音楽を虚心坦懐に聴かせてくれたと思います。というより、今日一日で私のゲルギエフに対する見方は一変してしまいました。この人は別にスペクタクル路線を目指しているわけではないんですね(^^ゞ。私は勝手にそういう路線の人だと思い込んでいましたが、そうではないようです。音楽の作り上げ方は丁寧だし、この演奏を真摯と呼ばずして何と呼ぼうかと思います。「シェエラザード」の響かせ方はとても良かったです。金管楽器の暴力的な音がオケを支配するような演奏を想像していた私には、非常にバランスよく響いたこの演奏にはすこぶる満足しました。ゲルギエフの奇を衒わない真摯なアプローチはリムスキー=コルサコフの音楽、その色彩的な響きを立派に表現していたと思います。

実は前半にある「はげ山の一夜」も全然スペクタクルではありませんでした。この指揮者は私が考えていたよりもっと奥の深い人のように思えてきました。多分そうなのでしょう。それは明日、マーラーの交響曲第9番で証明されるかもしれません。


CD11月24日:ゲルギエフ現る!

本日はゲルギエフを見るために東京国際フォーラムに出かけてきました。5,000人収容できるというあの巨大ホールでゲルギエフが指揮をするというのです。曲目はチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」とショスタコーヴィッチの交響曲第7番「レニングラード」。オーケストラはゲルギエフの手兵キーロフ歌劇場管弦楽団とN響の混成部隊という大がかりなものでした。

公演に先立ち、ゲルギエフのプレ・トークがありました。使われた言葉はロシア語です。ゲルギエフによれば、ショスタコーヴィッチの「戦争交響曲」は第4番から始まり、その4番の重要性もさることながら、「レニングラード」にショスタコーヴィッチが様々なメッセージを込めていることを述べていました。

それにしても絵になる男ですね。スーツ姿でステージに現れたゲルギエフは貫禄十分。CDのジャケットに見るとおり眼光鋭く、決まっています。これほどいい男はクラシック界にいないのではないかと思います。男の私から見てもかっこいい!と思うのですから女性のファンはさぞかし多いのでしょう。いつもは中年以降のおじさんばかりのクラシックコンサートなのに、東京国際フォーラムの会場には何だか女性の姿が目立ちました。

さて演奏についてです。キーロフ管とN響の混成ですから、アンサンブルの精度は期待できないなと私は考えていたのですが、これは大間違い。チャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」から見事に揃ったアンサンブルだったのでびっくりです。 確かに、分厚すぎると感じるところもないわけではありませんでした。大体、コントラバスだけで14本ですからね。低音の支えは十分すぎるほどでした。それでも、ゲルギエフは量の拡大による分厚い音響を狙ってはいないようで、オケにはソフトな音色としなやかさ、透明感を求めているように見受けられました。

メインの「レニングラード」ですが、これは金管楽器の別働隊13人を舞台後方に据えた強力な布陣によって演奏されました。舞台には140〜150人が載っていたと思われます。視覚的効果からしてすごいです。実際に、金管楽器別働隊全員が参加する場面では、子供だったら泣き出してしまいそうな暴力的な大音響となりました。第1楽章中間部はその最たるものです。だめ押しでこれでもかこれでもかと最強音が鳴り響く第4楽章フィナーレもすさまじいものでした。

しかし、私の当初の予想を裏切って、ゲルギエフはこの曲で別にスペクタクル路線を選ばなかったように思います。ショスタコーヴィッチの「レニングラード」で金管楽器ががなり立てるのはごく一部で、曲のほとんどの部分は弦楽器による旋律に覆われています。ゲルギエフは金管楽器が盛大に音を出すところ以外を実に精緻に描いていたのが印象的でした。そもそもキーロフ管とN響の急ごしらえの混成部隊ですから、リハーサルにさほど多くの時間を割けたとは思えません。限られた時間しかなかったと推察されます。それにもかかわらず、今回の混成オケはあたかも最初からゲルギエフの手兵であったかのように精緻な演奏をしてしまったのでした。圧巻は第2,第3楽章です。弦楽器のアンサンブル、木管楽器の洗練など、実に聴き所の多い演奏でした。実はN響には多くを期待していなかったのですが、この公演を聴いて私はN響をちょっと見直しました。

演奏は大変満足のいくものでした。が、気になったのはホールのことです。やはり馬鹿でかい感じがします。会場の入りは8割5分から9割くらいだったと思います。終演後すごい拍手が聞こえるかと思いきや、拍手の音が広い会場に拡散してしまうのか、あまり拍手があるように感じられませんでした。実際はすごい拍手だったはずです。逆に言えば、キーロフ管とN響も自分たちの音を客席に届けるのに相当な苦労をしたのかもしれません。聴衆とオケでは向きが正反対ですから、本当のところはよく分かりません。が、もし音の拡散に苦労していたとするなら、あれだけ高度なアンサンブルで精緻な演奏を聴かせてくれた今回のプレーヤー達は凄腕中の凄腕と言わざるを得ません。

なお、ゲルギエフは今週木曜日(「シェヘラザード」を演奏)、金曜日(マーラーの交響曲第9番を演奏)とサントリーホールに登場します。私はその両方に出かける予定です。キーロフ管だけの演奏を今度はまともな音楽ホールで楽しめそうです。


CD11月18日:コンセルトヘボウ管のページに本日行われたサントリーホールでの模様を追加しました。コンセルトヘボウ管の来日公演は本日で終了です(T_T)。


CD11月14日:「コンセルトヘボウ管のページ」に、コンセルトヘボウ管来日公演のマーラーで合唱団員として金沢でステージに登られたさとみさんのレビューを追加しました。さとみさん、原稿ありがとうございました。とてもすばらしい内容ですね。この原稿を読んでいて、私も夢のようなあの演奏を思い出してしまいました。


CD11月13日:青木さんによる「コンセルトヘボウ管のページ」に来日公演の日程等の詳細情報と青木さんが行かれた2公演のレビューを追加しました。

ボタン来日公演の日程等はこちらnew
ボタン来日公演のレビューはこちら(文:青木さん)new

なお、今回コンセルトヘボウ管の来日公演に行かれた方、ぜひともレビューを送ってきて下さい。この公演の歴史として綴っていきたいと思います。


CD11月7日:コンセルトヘボウ管来日

今日はコンセルトヘボウ管のコンサートを聴きにサントリーホールに行って来ました。とてもいいコンサートでした(^o^)。指揮者はシャイー、演目はマーラーの交響曲第3番のみ。合唱にはアーノルト・シェーンベルク合唱団、TOKYO FM合唱団、アルトソロにナタリー・シュトゥッツマン(ミシェル・デ・ヤングから変更)という布陣でした。

席は前から6列目、しかも、壁際とあって目の前にはコントラバス軍団が! 木管、金管軍団は完全に視界から外れています。チェロとコントラバスの低音が特に強く感じられるコンサートとなってしまいました。私が切符を購入したときは、他の席がもう残っていなかったのでどうしようもないのですが、値段の高い席は往々にしていい席でなかったりします。俳優を見るのではないので、あまりステージに近い席はオケのバランスがよく分からなくなって困ります。

CDで聴く限り、シャイーという人はあまり感情移入をしないあっさりした演奏が多いのですが、今回のマーラーもそうでした。劇的な迫力は申し分もないのですが、やや淡泊です。それはシャイーの音楽に対する向かい方なのかもしれません。実際、今日の演奏もシャイーの指揮を聴いた、という印象よりも、質の高いマーラー演奏を高性能のオケで聴いたという印象の方が強いのです。良質な音楽であれば、それを妙な味付けをしないで聴衆に提供することを基本にしているのでしょうね。

第1楽章から、オケの高性能ぶりを満喫できる演奏でした。人によってこの曲の楽しみ方は様々でしょうが、私は第3楽章以降が大好きです。私は第3楽章中間部に現れるポストホルンの音が大好きです。あの長大なソロは、クラシック音楽における最も天国的な調べだと私はかねがね思っています。コンセルトヘボウ管の何という人が今回あのソロを努めたか私は分からないのですが、実に見事なものでした。あのソロを聴けただけでも価値のあるコンサートでした。終演後、舞台裏から現れたポストホルン奏者は熱狂的な歓呼に迎えられていました。それも宜なるかな、ですね。

代打で登場したアルトのシュトゥッツマンもいい声を聴かせてくれました。そして、第5楽章が終わるとすかさず第6楽章に突入します。シャイーの指揮棒はゆっくりと大きな大きな弧を描き、第6楽章アダージョが始まりました。これは絶品でした。弦楽器による弱音の美しさといったら! それも弱音になればなるほどスリリングなほどの美しさを実現してしまうんです。あのアダージョが始まってすぐに、弦楽器群の精緻でしなやかな表現に私は思わず目頭が熱くなったほどです。全く驚くべきオーケストラですね。コンセルトヘボウ管の弦楽器セクションは「ビロード」にたとえられるそうですが、そういう比喩も十分に成り立つかもしれません。アダージョはシャイーもかなりオケを謳わせていました。最初テンポをかなり落としたな、と感じたものですが、そのうちにシャイーのテンポにすっかりつき合わされ慣れてしまいました。すっかり夢見心地になった私は、堂々のエンディングの頃には胸がドキドキしました。ちょっと恥ずかしいです(^^ゞ。

今日の聴衆の中にはフライング・ブラボーマンがおらず、シャイーの指揮棒がしっかり止まってからあたたかい拍手とブラボーが湧き起こりました。いいコンサートはプレーヤーだけでなく、いい聴衆があってこそできるものです。この比類なきオケの音色・技術を完全に満喫した上に、マーラーの上質な演奏を聴かせてもらって、今日は幸せです。


CD11月4日:寒いぞ!

3連休は法事のため福島の田舎に帰省してきました。寒かったです。最高気温が10度を超えないとは。真冬並みですね。会津地方では雪が降り続け、でこ山があるグランデコスキー場は何とこの3日間スキーができたとか。山頂付近には60センチもの新雪が積もり、コンディションも上々だったといいます。今シーズンも、長期予報では暖冬とされていますが、超短期的にはそうではなかったわけです。もう居ても立ってもいられませんね。今年はスキーに関してはここ5,6年の間で最も燃えています。目標はカービングスキーで美しいロングターンを決めることであります。は、早く滑走したいぞ! が、11月頃から雪が降った年は往々にして12月末まで雪が降らなかったりするのであります(T_T)。今年はどうなることやら。え? クラシック音楽の話は書かないのかって? 何卒ご容赦下さいね!


CD11月1日:開設4周年!

An die Musikは1998年11月1日に産声を上げましたので、本日をもって開設4周年となります。・・・ということを私は昨日気がついたのでした(^^ゞ。したがって、何も記念イベントを用意しておりません。皆様、ごめんなさい!

今振り返ってみると、4年間もよく続いたなと思います。ホームページを更新・維持するのに嫌気がさして投げ出したこともあります。大きな事件は4年間に3度もありました。特に3回目は打撃が大きかっただけに更新意欲を完全に奪われていました。そうした危機があったにもかかわらず、更新を再開し、今まで続けてこられたのは、ひとえに皆様読者の温かいご声援があったからこそです。本当にありがとうございました。今後とも変わらぬご愛顧をいただきたく、お願い申しあげます。

11月1日から2日にかけてはアクセス数も45万件を突破しそうです。私としては立ち上げ時には何とか3,000件にならないものかと祈り、3,000件を達成したときには10,000件に持っていくのが悲願でした。いつの間にかクラシック音楽のCDを扱うページの中ではアクセス数の多いサイトになったのを我ながら驚いています。このような音楽の素人が作るサイトに多くの方がアクセスして下さる以上、今後とも楽しい意見交換の場であり、情報発信の場所としてAn die Musikを発展させたいと思います。


(An die MusikクラシックCD試聴記)