ARCHIVE OF WHAT'S NEW?
2009年1月

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CD2009年1月22日(木):リシッツァ

 ゆきのじょうさんの「わが生活と音楽より」に「ヴァレンティーナ・リシッツァ ピアノ・リサイタルを聴く」を追加しました。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。

 

CD2009年1月20日(火):ティーレマン

 たまには重量級の曲を聴いてみようと思い、ブラームスの交響曲第1番のCDを取り出してみました。ティーレマン盤です。

CDジャケット

ベートーヴェン
「エグモント」序曲 作品84
ブラームス
交響曲第1番 ハ短調 作品68
ティーレマン指揮ミュンヘンフィルハーモニー管弦楽団
録音:2005年6月、ミュンヘン・ガスタイクにおけるライブ
DG(輸入盤 477 6404)

 CDジャケットにはライブ録音と書いてありますが、会場ノイズが聴き取れないので、リハーサルでも編集したものではないかと想像されます。ライブと表記した方がCDの売れ行きが良いのかもしれませんね。

 それはともかく。

 この演奏を聴いていて第4楽章でギョッとしました。ホルンによる情熱的な前奏が終わって、弦楽器によって第1主題が奏でられますが、これがなかなか始まらない。しばらく間をおいた後、やっとあの主題が登場します。「Allegro non troppo, ma con brio」と書かれたそのフレーズは、ほとんどppで演奏されているように感じられるほど静謐感を伴います。それも、しんみりしていて全然「con brio」という気がしません。ただし、おそらくコンサートホールではこの演出による効果は絶大だったと思います。忘れがたい印象を残しますし、静かに奏でられる第1主題を注意深く聴くことになるからです。

 もう1箇所驚いたのは終結部が始まるところです。ティーレマンはテンポを落とし、弦楽器以外の音量を抑えて、まるで原始霧でも想起させるような音響を作り出します。ここは良く言えば神秘的でありますが、ブラームスをそんなふうに演奏しないでくれ、と怒りに震える人がいてもおかしくない演奏です。

 私はどうだったかというと、結構喜んで聴いたのであります。5年くらい前まではこういう演奏をおそらくは許せなかったと思いますが、ライブ盤でもありますし、こういう演奏をして聴き手を楽しませてくれるのは悪くないと思います。世の演奏評を見ておりますと、「虚飾を排した」とか「ケレン味がない」とかいう言葉が使われることがありますけど、ティーレマン盤には虚飾もケレン味もあります。いいではないですか、こういうのも。「してやったり」という指揮者の表情がはっきり見えて、かえって好ましいと思います。

 ティーレマン盤は私の好きな演奏のタイプではないにもかかわらず、今は十分楽しめました。さて、あと5年後は同じ演奏を聴いてどんな感想を持つようになるのでしょうか。自分に対して大変興味深いものがあります。

 

CD2009年1月15日(木):ギター

 ゆきのじょうさんの「わが生活と音楽より」に「二枚のギターのアルバムを聴く」を追加しました。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。

 

CD2009年1月13日(火):アルフレッド・ブレンデル特集完結!

 松本さんの連載「アルフレッド・ブレンデル  ベートーヴェン「ハンマークラヴィーア」を聴く」に「第5部「ハンマークラヴィーアソナタ」の基本的楽曲分析」と「−余韻あるいは惜別として−」を追加しました。これにてブレンデルシリーズが完結しました。松本さん、長期にわたる原稿執筆ありがとうございました。

 私のリクエストに松本さんが快く応じてこの連載が始まったわけですが、よもや4年5ヶ月かかる内容になるとは松本さんも私も思っていませんでした。松本さん、私のわがままに最後までお付き合い下さり、本当にありがとうございました。ブレンデルのページはこちらが入り口ですので、皆様もぜひ再読してみて下さい。

 私としては4年5ヶ月前のことがいろいろ思い出されてなりません。随分いろいろなことがありました。私を取り巻く環境は公私ともに大きく変わっています。一体この先どうなるのだろうと苦悩したこともありましたが何とかして今に辿り着いています。まあ、こうして年を取っていくのだなと思います。原稿を書いてもらって、それをアップしているだけの私でさえそんなことを感じるのですから、執筆して下さった松本さんはさぞかし大変な思いをされたに違いありません。今日は、松本さんご自身が弾いた「ハンマークラヴィーア」を聴いて、この長編が完結したことを感謝申しあげたいと思います。

 

CD2009年1月12日(月):宝物は・・・

 チャイコフスキーのバイオリン協奏曲は私の大好きな曲です。華があって、聴く前からわくわくしてきます。私が新年早々に大満足して聴いたのは以下のCDでした。

CDジャケット

チャイコフスキー
バイオリン協奏曲 ニ長調 作品35
バイオリン:クリスティアン・フェラス
カラヤン指揮ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
録音:1965年、イエス・キリスト教会
DG(輸入盤 429 166-2)
併録:チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(ピアノ:ラザール・ベルマン)

 重心のあるオーケストラのアンサンブルの上に、バイオリンソロが王者のごとく君臨し「この音を聴け!」とばかりにチャイコフスキー節を奏でる様は圧巻であります。音だけを聴く限り、この録音はフェラスのソロをしっかり聴かせるように作られたと感じられますが、フェラスも一発撮りのような熱気を持って演奏していて、痛快です。いいですねえ。ゆったりとしたテンポ設定がまた嬉しい。渾身の演奏にじっくりと浸れるというものです。

 白状しますと、最初にCDプレーヤーにかけたのはカラヤン盤ではなく、昨年買った新譜でした。その新譜を30分我慢して聴いた私は意気消沈してしまったのですが、気を取り直してCDラックを見ると、そこには持っていることさえ忘れていたカラヤン盤があったのです。

 昨年からの嘆き節はずっと続いているわけですが、嘆くだけでは能がありません。今年は皆様にも通用しそうな教訓を掲げることにします。「宝物はあなたのCDラックの中にある」。いくらクラシック音楽ファンだからって高価で内容空疎な新譜を追う必要はありません。あなたにも今までむやみやたらと買い込み、その割にしっかりと聴いてこなかったCDはありませんか? それが古い時期の録音だったら、もしかしたら宝物かもしれません。今年は新譜はほどほどにして良質のCDを自分のCDラックから探し出すことにしたいものです。

 

CD2009年1月6日(火):ばらの騎士

 「シュターツカペレ・ドレスデンのページ」に「シュターツカペレ・ドレスデンによる「ばらの騎士」:もう一つの(?)名盤」を追加しました。文はゆきのじょうさんです。ゆきのじょうさん、原稿ありがとうございました。昨年のうちに原稿を頂いていたのに掲載が遅くなり、申し訳ありませんでした。

 

CD2009年1月4日(日):謹賀新年

 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申しあげます。

 年末年始はスキー場で過ごしました。そんな環境ですから、自宅に戻るまではクラシック音楽を聴くことはまずないだろうと思っていましたが、スキー宿の自分の部屋に帰ってくると、女房が「お父さん、ニュー・イヤー・コンサートをやっているよ」と言います。早速テレビをつけてみると、もう終盤にさしかかっていました。どうもアンコールに入っているらしい。そこでバレンボイム指揮ウィーンフィルが演奏し始めたのはハイドンの交響曲第45番 嬰ヘ短調「告別」の第4楽章でした。それも、ちゃんと演奏者達が舞台から姿を消していくというパフォーマンス付きです。演奏しながら小走りに去っていく奏者や、哀れを誘う指揮者の姿が大変印象的でした。ハイドンって、何とまあ魅力的なアイディアの持ち主だったのかと今さらながら感心しますね。子どもまで喜んで見ていましたもの。

 こんな曲目がニュー・イヤー・コンサートで取りあげられるのは、今年がハイドンの没後200年であるためです。いつの間にかそんな年になっていたのですね。ここでふと思い出すのは「ハイドン・マラソン」です。この企画は、2006年に思い立ち、2年くらいで全曲を、それも2種類を聴き比べながら聴き通すつもりで始めたのですが、最終更新は2008年3月1日です。実に私らしい計画性のなさ、だらしなさで、我ながら呆れてしまいます。諸般の事情で継続的にこの企画を進められなかったのですが、もし計画的にこなしていたらハイドン・イヤーに先駆けて全曲制覇をしていたであろうのに、と悔やまれます。私は自分の気が赴くときにしか更新しないたちなので、こうなったのもいたしかたありません。こうなったらハイドン・イヤーにかこつけてまた再開するしかなさそうですが、同様なことがあちこちのサイトで始まりそうな気もします。もともとは自分でハイドンを聴きたくて始めた企画だったので、ハイドン・イヤーのことは忘れてしまった方が精神衛生上は良いかもしれません。

 せめて、最初に自宅で聴く曲はハイドンの45番にしようと思ってかけたCDはケルテス盤でした。

CDジャケット

ハイドン
交響曲第45番嬰ヘ短調Hob.T-45「告別」
イシュトヴァン・ケルテス指揮バンベルク交響楽団
録音:1960年11月
DENON(COCQ-84385)

併録:ベートーヴェン/交響曲第2番

 CDなので、視覚的な効果は望むべくもありません。しかし、音楽だけでも魅力的な曲ですし、このCDでも、ケルテスとバンベルク響の面々が楽しみながら、この曲の魅力を今に伝えてくれていると思います。こういう曲で新年を始めるのもいいですねえ。


 

(An die MusikクラシックCD試聴記)